テキストサイズ

未知夢

第3章 酒席

 しかも、そのラブレターの内容も、森屋に知られていたから致命的だ。


「たしかさぁ、『ずっと惚れている。俺についてこい』だったよなぁ」


 繁はテーブルに顔を伏せたまま、額をこすりつけた。


「うわ、最悪過ぎだ……てか、学校じゃ、付き合ってる素振り見せなかったじゃねぇか!! 付き合ってるの分かってたら出してねえよ!! てめえのせいだバカっ!!」


「まあ、そう責めるな。どんどん飲んでくれよ。ただし、ここの開店時間までだからな」


「くそ……愁傷酒で酔いまくってやるからな。チューハイ頼む!!」


 繁は森屋に目を合わそうとはしなかった。


 やがて森屋はジョッキを空にすると繁に語りだした。


「あのさぁ、信じるか信じないかは自由だけどさ」


「………」


 繁は返事さえしない。


 森屋はおかまいなしに続けた。


「由佳里と付き合う前なんだけどさぁ……変な夢見たんだ。ずっと覚えててさぁ……聞いてくれよ」


「ふん、それっていつだ?」


 正直、どうでもよかった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ