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　繁はどう状況を説明しようかと、頭の中を整理した。


　だが、猥褻な映像しか出てこなかった。


　その時だ。


「待てっ!!　やめろ、ちょっと落ち着け」


　中から森屋の声が響いた。


「しまった！」


　その声を聞いた繁は、リビングのドアを開けた。


　目の前には、もう一人の繁がナイフを手に、いまにも掴みかかろうとしていた。


「やめろ!!」と、繁は繁を羽交い締めにする。


「ええぇぇぇーーーっ!!」


　違った意味の森屋の声が響いた。


「待て！　そのあとは『なんですってぇぇーー!!』だろ!!　いや、驚いたのはわかる！　今は落ち着け!!」と、繁を羽交い締めにしながら繁は告げた。


「えっ!?　なによこれ？」と、その様子を見た綾子も、驚いて声を上げた。


「いいから、驚かないでくれ」と、繁は懸命に伝える。


「アカン……酔ってる……滝が二人に見える」


「いや、間違いなく二人いるから!!　て、言うか、まず森屋、そこに座れ!!」


「なに？」


「お前が、高円寺綾とどんな関係だったのかを聞きたいんだ……」


　徐々に抱えられている繁が重くなってきた。


　もう一人の繁は、ナイフを持ったまま眠っていた。