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未知夢

第14章 滝繁

「ガチかそれ?」


 繁が立ち上がった。目線は、壁にかかったナイフを見ている。


「ヤバい」と、その様子を覗いていた繁が、部屋に飛び込もうとした。


「あのう……」



 誰かが後ろから声をかける。


 繁は驚いて振り向いた。


「えっ?」


 目の前にいたのは高円寺綾子だった。


(やっぱり生きていた……てか、なぜここに?)


 繁はうろたえながら、そう思った。


「……!」


 綾子は目を丸くする。何かを思い出した様だ。


「ごめん……そんなつもりじゃ……あ、不法侵入だよなこれ……すぐ出ます。ごめんなさい」


 繁は慌てて出ようとする。だが、リビングの二人も気になる。


 すると、綾子が声をかけた。


「あの……10年前……屋上で、会いましたよね?」


「えっ?」


 繁はおもわず顔を見た。


「うわ、やっぱかわいい……あっ!! 違う、そうじゃない! ちょっと、あ、どうしよ」


 おもわず本音が出てしまった。


 綾子は繁に近付く。


「お兄さんのお友達って……先生だったんですね!?」


 綾子は10年前のあの日に見た繁を覚えていた。




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