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　繁は床に転がったナイフを手に持った。


　森屋は慌てて、手を前に出した。


「ちょ、だから待て！　それは俺を妬んでもしょうがないだろ!!　てか、本当にお前はなんなんだ!?　何しに来た？　お前……いろんな意味で犯罪だぞ!!」


「だから、まず俺の質問に答えろ!!　答えてから、俺が何者なのか、どの星から来たのかをすべて話すから」


　繁と森屋はお互いの目を見合せながら呼吸を整えた。


　繁はテーブルにナイフを置く。


「お前が二人いて、なんか訳がわからないよ……」と、森屋はテーブル上のグラスに入った焼酎を一口飲むと、ホッと息を吐いた。


　そしてソファーに深く腰掛け、足を組んだ。


「俺がまだ幼い頃の話らしいが、俺が産まれて間もないとき、親父は他の女に手を出したんだと。その女との間に出来ていたのが綾子だった」