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未知夢

第14章 滝繁

 繁は立ち止まった。


「滝さん……俺は社長として、いろんな社員を見てきたからわかる。あんた……その繁と本当に同一人物なのか? 変わったよ……梅田で会ったそこの滝繁よりも全然違う。そいつもあんたみたいにこうなるのか?」


 森屋がそう言うと、繁は項垂れた繁をチラリと見た。


「わからない……もう、俺の見た世界と違うから……また会ってみたいか?」


「俺はもういいが……綾子がな……だが、殺人未遂とはもう付き合いたくはない」


「俺の方は殺人だ。次に俺を見るのは……明日のニュースだ。殺人未遂事件を起こした容疑者……だからな」


 そう言うと、無理矢理に繁を立たせた。


「迷惑をかけた。ごめんな」


 二人の繁はヨタヨタとリビングから出て行った。


 森屋は傷口を押さえ、テーブルの上にあったメモ用紙を手に取った。


[滝繁]


 そう書きかけるとクシャっと紙を丸めた。



 森屋は、フッと息を吐くと、綾子に言った。


「綾子……医者はもういい。内蔵は傷ついてない……」



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