テキストサイズ

未知夢

第4章 容疑

 なにか、冷たい物が飲みたくなってきた。


 だが、冷蔵庫を開けても何も入っていない。


「ふぁ〜〜っ! 買いに行こうかな」


 繁は大きなあくびをし、ジーンズと黄色いTシャツを着ると、アパートの2階の部屋を出てすぐ下の自販機までお茶を買いに出た。


 フラフラとしながら下りていくと、隣に住む60代のおばちゃん、寺田亀代(てらだかめよ)がアパートの前を、ボロボロのホウキで掃除していた。


 亀代はダホダホのTシャツを汗でぬらし、首にかけたタオルで顔を拭きながら、繁に声をかけた。


「おはよう滝さん、昨日は遅くまで飲んではったんやろ? 部屋を間違えてうちの扉をガチャガチャ開けようとしてはったで」


 亀代は笑いながら言った。


 繁はキョトンとした顔で「ほんまですか! すいません。それ、何時頃でした?」と、聞いた。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ