テキストサイズ

未知夢

第4章 容疑

「滝さん!!」と、亀代が寄ってきた。


 このアパートに引っ越して来て6年。


 ここの住人の中で一番親しいのが、このおばちゃん、寺田亀代だった。


「滝さん……この方たちは同級生?」


「いや、この状況をどう判断したんですか!? 気分的には助かる質問なんですが……」


 すると、一人の刑事がこう言った。


「今晩のニュースに彼の顔が映りますので……」


「そんな番宣はいらない!! てか、刑事が言うセリフかよ!! おばちゃんまで、絶対録画予約してまで見るといった表情で俺を見るな!!」


 なぜ、こんな展開に……繁には記憶がなかった。


 そう、居酒屋で森屋と飲んでから後の記憶が無いのだ。


 繁は急に不安になった。本当に殺していたらどうしよう……。


 証拠はあるのか?


 わからない……。


 頼む!!


 これが夢であってくれ。


 何度も心の中で願った。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ