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未知夢

第2章 再会

 そこにいたのは、スーツに身を包んだ一人の男性だった。


「あっ!!」


 繁はその男が誰なのか、すぐにわかった。


 それは大学時代、サッカー部で一緒だった男、森屋隆弘(もりやたかひろ)だった。


「え? 森屋……か?」と、わざとらしく聞いてみる。


「おおっ!! お前、やっぱ繁じゃないかっ!! 久しぶりだなぁ」


 この男、繁よりひとつ年下だが、大学ではひとつ先輩にあたる。すなわち、繁が二浪していることがわかる。


「なんだよ……なんの用だ?」


「なんの用って、久しぶりに会ったってのに、冷たいよなぁ」


 皮肉な話だが、森屋は高校時代、繁のサッカー部の後輩でかなりしごかれていた。


 繁にとって森屋は、いい友人であるとともに、あまり好きでは無い相手でもある。


「森屋……いま、なにやってんだよ」


 繁は目を合わさずに聞いた。



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