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未知夢

第2章 再会

「えっ? 知らないの?」と、森屋は「なぜ?」と言わんばかりの表情を浮かべる。


「知らないから聞いてんだろ」


「毎年、年賀状でいろいろ書いてるだろ……まさか、読んでない?」


 繁はここ10年、年賀状は貰うばかりで出したことがない。


 しかも、年賀状を貰っても、結婚して嫁さんと写ってる物は絶対に見ない。見てもお年玉の番号を確かめるだけだ。


「内容なんて覚えてねえよ……切手シートも当たらないのに……」


 繁はシャツの中に手を突っ込み、汗ばんだ体を手で拭いとる。


 森屋はため息をついた。


「なんだよ……俺は今、居酒屋チェーン店の経営をしてんだよ!!」


 森屋はそう言うと、大きな財布から名刺を1枚出して、繁に手渡した。



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