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未知夢

第6章 空間

 繁はさらに考える。


(そうだよ……それに京都に住む森屋の家に行くにはうちから電車だけでも1時間近くかかる距離。考えたらどうやって帰ってる? あんな時間じゃ、終電もない。タクシーで帰ろうにも4321円しか持ってなかった俺にどう帰れって言うんだ? それに午前1時頃に俺の声を聞いてる人、おばちゃんがいる。そのおばちゃんに確認をとればアリバイ成立。俺はやってないって!!)


 繁は立ち上がり、看守が近くにいるかどうかを確かめた。


「あのぉ〜、すいません。ちょっとお話があるんですが、お耳をちょいとばかりお貸しいただけませんか?」


『カツン、カツン、カツン……』


 靴の音が響く。よかった……来てくれた。


「またお前か……静かにしろ!!」


「あ、すいません……あのね、もう一度取り調べしてくれません? 夜勤の刑事さん、いるんでしょ? 肝心な話があるんですがねぇ……」



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