テキストサイズ

未知夢

第6章 空間

「また明日話せばいいだろ。静かにしてろ」


「……」


「返事はしろ」


「はい」


 看守はそう言って、また見回りを続けた。


(明日か……ま、いいか……明日になればすべて終わるさ……)


 たった一人の空間。繁にとっては、たとえ留置所としても居心地は悪くなかった。


 むしろ、このままでいたい様な気もあった。


 こんなことを思った。


 今頃、ニュースで自分の名前が流れてるのだろうか?


 殺人犯として名前が知れ渡っているのだろうか?


 夕刊には載るのかな?


 まあ、いい。明日になれば貴重な証言を叩きつけてやる。


 有罪を覆す何かを……。


 ナイフに指紋? たぶん、リンゴの皮でも剥いてたんじゃないの?



 リンゴ食べたいな……。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ