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未知夢

第6章 空間

 なんと、それは札束と顔が無い女性の裸体と、緑色の玉子型の石だった。


 森屋の話と、まったく一緒だった。


「え? なんだこれ」


 繁は手を伸ばして見る。


 しかし、なかなか掴まえられない。


 手が届かない。取ろうとしても掴めない。


「クソッ!! なんだよアレ!?」


 前に行けば遠ざかり、近付いてきてもすぐには離れ、取らせてくれない。


『気にいったものを取りなさい』


 再び声が聞こえた。


「取りたいんだけど取れないんだ!」


 繁は必死に前に出ようとする。


「くそっ!! 後、6センチ8ミリほど長さがほしい……」


 繁は手を前に出し、指先までピーンと伸ばす。


「こんなことなら、爪も伸ばしとけばよかった……金……金がいい」


 女体には軽く触れるくらいは当たる。だが、金になると触れさえもしない。



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