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未知夢

第7章 誤認

 謎はまだまだある。森屋が残したダイイングメッセージと、指紋が付着した凶器だ。


「こんな不可解な事件はない」と、刑事は頭を抱えていた。


 繁の隣に住む亀代と巡回中の警察官の証言により、犯行時刻に繁は森屋宅にいなかったことになる。


 森屋の死亡推定時刻は午前0時半から1時半。午前1時には繁はアパートにいた。


 ここから繁の住む町の最寄り駅まで、電車で約1時間。まず、犯行は不可能だ。


 じゃあ、凶器のナイフとダイイングメッセージはどうしたものなのか?


 結局、証言があったと言うだけで、何も進展しないまま1日が終わろうとしていた。


 だが、その翌日……。


 信じられない展開がおきた。


 朝、繁は取調室にいた。


 昨日と違うのは担当の刑事が年配のおっさんになった。


「私、浦賀剛(うらがたけし)と、申します」


「は……はぁ」




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