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未知夢

第7章 誤認

 誤認逮捕は否定しなかった。


 ここ数年、警察に対しての信用度は薄くなってきているのもたしか。


 これが世間から見る、警察の印象だと、刑事は改めて感じた。繁に対して怒るよりも貴重な意見のひとつだと受け止めた。


 項垂れる繁の肩をポンポンと叩くと「もう、帰っていいぞ」と、一声かけ、刑事は部屋から出ていった。


 しばらくして繁は立ち上がると、ガラス窓の向こうを覗いて見た。


 そして、自分なりの解釈で考えた。


(あの男は自分が犯した罪で、関係の無い人間に大きな迷惑をかけてしまったことを気にかけて自首してきたんだろうか? まさか、本当に指紋がすべて一致する者がいたなんて……まあ、人間なんざ日本人だけでも約一億二千万人ほどいるんだ。地球上を考えたら指紋が一致するのもいるかもしれない。それがたまたま間近に存在しただけのこと。しかし、全部一致とは恐れいった)



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