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未知夢

第7章 誤認

 繁は力いっぱい壁を叩いた。


「俺、これからどうすんだよ!! どっちみちバイト先はクビだよ!! これが原因で就職出来なかったらどうすんだ!?」


「そりゃ、そこから先の事は……」


「先の事はじゃねえっ!! 冤罪で人生狂った人いっぱいいるんだろ!! てめえらの責任じゃねえか、なんとかしろよ!! おい!! あの白鳥沢美智雄ってのをぶん殴らせろ!!」と、繁は男のいる取調室に向かおうとした。


 刑事はそれを必死に止めにかかる。


「気持ちはわからんでもない! ただ暴力はやめろ!!」


「あんたら警察っていったいなんなんだよ……世間の噂じゃ、ここ数年適当でいい加減だって話だしよ……あんたらもいろいろ不祥事やってんのを隠してんじゃねぇのか!?」


「おい、モノの言い方に気をつけろっ!!」



 繁は言うだけ言うと床にペタリと座り込んだ。


 怒鳴っても叩いても何も解決はしない。


 ただ、自首してきた男への怒りの矛先がなかった。


 刑事も何も反論できなかった。



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