お嬢様♡レッスン
第1章 初めまして、お嬢様
霊園の事務所内にある応接室へと通され、綾芽がソファに落ち着くと葛城は部屋を出て行きティーセットを携えて戻って来た。
綾芽が見守る中、葛城は流麗な仕草で紅茶をカップに注ぎ彼女の前へ音もなくそれを置く。
手馴れた手付きであった。
彼はカップを置くと、綾芽の向かい側に立ち、口を開いた。
「杜若様は『東乃宮』グループをご存知ですか?」
「ええと…財閥系の企業ですよね?」
「左様で御座います。『揺り籠から墓場迄』をモットーに皆様の生活を豊かにし、サポートをする企業。その東乃宮グループのトップに居られるのが、『東乃宮宗佑』様です」
「はぁ…」
「宗佑様にはお嬢様がお1人、居られました」
「あの…」
「その御息女は使用人と恋に落ち、家を出て行かれてしまいました」
「あの!」
「はい?何でしょう?」
「お座りにならないんですか?何か見下ろされてると叱られてるみたいで落ち着かないんですけど…」
「これは失礼致しました」
そう言うと葛城は長い脚を折り、跪いた。
「あの!椅子に座らないんですか?」
「はい。仕える者が主人を前に座るなど以ての外で御座いますから」
「私は貴方の御主人様ではありませんよ?」
「いいえ。貴女はこれから私共の主人と成られるお方です」
「は?」
「お亡くなりになられた、貴女のお母様。綾音様は宗佑様のたった一人のお嬢様。そして貴女は宗佑様のたった1人のお孫様で御座います」
「え?………ええ~っ!?」
動揺する綾芽に葛城は近付くと、彼女の手を取りにっこりと微笑む。
「お迎えに上がりました、お嬢様。高月!」
「はい」
いつの間に入って来ていたのだろうか。
『高月』と呼ばれた男が近付いて来て、先刻の葛城の様に胸に手を当てお辞儀をする。
「初めまして、お嬢様。東乃宮家で執事を務めさせて頂いております、高月と申します」
高月と名乗る男性が顔を上げると、綾芽は目を見張った。
高月も葛城に負けず劣らずのイケ面だったからである。
「高月、お嬢様の御遺骨をお持ちなさい」
「畏まりました」
「さぁ、お嬢様。参りましょう。後の事は私共にお任せ下さい」
そう言って葛城は、固まったままの綾芽を立ち上がらせると、彼女に寄り添い車まで誘導する。
彼女が案内されたのは、先程見掛けた黒塗りの長い車だった。
綾芽が見守る中、葛城は流麗な仕草で紅茶をカップに注ぎ彼女の前へ音もなくそれを置く。
手馴れた手付きであった。
彼はカップを置くと、綾芽の向かい側に立ち、口を開いた。
「杜若様は『東乃宮』グループをご存知ですか?」
「ええと…財閥系の企業ですよね?」
「左様で御座います。『揺り籠から墓場迄』をモットーに皆様の生活を豊かにし、サポートをする企業。その東乃宮グループのトップに居られるのが、『東乃宮宗佑』様です」
「はぁ…」
「宗佑様にはお嬢様がお1人、居られました」
「あの…」
「その御息女は使用人と恋に落ち、家を出て行かれてしまいました」
「あの!」
「はい?何でしょう?」
「お座りにならないんですか?何か見下ろされてると叱られてるみたいで落ち着かないんですけど…」
「これは失礼致しました」
そう言うと葛城は長い脚を折り、跪いた。
「あの!椅子に座らないんですか?」
「はい。仕える者が主人を前に座るなど以ての外で御座いますから」
「私は貴方の御主人様ではありませんよ?」
「いいえ。貴女はこれから私共の主人と成られるお方です」
「は?」
「お亡くなりになられた、貴女のお母様。綾音様は宗佑様のたった一人のお嬢様。そして貴女は宗佑様のたった1人のお孫様で御座います」
「え?………ええ~っ!?」
動揺する綾芽に葛城は近付くと、彼女の手を取りにっこりと微笑む。
「お迎えに上がりました、お嬢様。高月!」
「はい」
いつの間に入って来ていたのだろうか。
『高月』と呼ばれた男が近付いて来て、先刻の葛城の様に胸に手を当てお辞儀をする。
「初めまして、お嬢様。東乃宮家で執事を務めさせて頂いております、高月と申します」
高月と名乗る男性が顔を上げると、綾芽は目を見張った。
高月も葛城に負けず劣らずのイケ面だったからである。
「高月、お嬢様の御遺骨をお持ちなさい」
「畏まりました」
「さぁ、お嬢様。参りましょう。後の事は私共にお任せ下さい」
そう言って葛城は、固まったままの綾芽を立ち上がらせると、彼女に寄り添い車まで誘導する。
彼女が案内されたのは、先程見掛けた黒塗りの長い車だった。