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短編集:禁断

第5章 結婚式の前に……

「婚約者が鈴村さんだったらなあ、鈴村さん、今度お茶でもどうですか」


またか。


胸をチラチラ見せながら腕を絡めてくる客を笑顔で交わす。
婚約中の女でも、何人かは俺を誘ってくる。
そういう女を厳選して、食ってる。
食うのは、婚約者にバレると面倒だから遊びで済む女、美人でスタイルのいい女。
後は、俺の気分。
さっきの女、まあまあ良かったな。


……もったいなかったか?













さて、次の客だ。
次は……


手をつないで見学している男女。


「こんにちは」


2人が軽く会釈する。
微笑みながら話している。
幸せそうなカップルだ。
女の方はよく知ってる。


沢井奈津。
高校の同級生だ。

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