
色を愛でる
第2章 Baby pink 乙女の装い
土曜日、12:18 山の手線内回り
扉付近にゆきは立っていた。
近くにはこれから遊びに
行くであろう、
黒髪ストレートの女子高生。
まつ毛がバサバサで、
ノーズシャドウが不自然に
浮き上がってる大学生。
不自然な距離で話し合うカップル。
様々な人がいる。
ゆきは外を見ようと、窓の方を向くと窓に映った自分と目があった。
「あっごめんなさい」
近くにいた女の子が
ゆきにぶつかった。
ゆきはチラッと女の子を見てすぐ
窓の外に視線を戻した。
後ろから、若い子特有のハイテンションな声が聞こえる
あー、もう本当にうざったい。
静かにしてくれないかな。ガキ。
これだからガキは嫌いなんだよ。
ガキなのに化粧は一丁前だし。
ピンクのまん丸チークに止めが
赤リップなんて信じらんない。
ゆきは心の中で毒づいていた。
私はベージュリップ全盛期の
あの遊び呆けていた日々を、思い出した。
目の周りを真っ黒に囲んで、
付けまつげを重ねて、友達と連む。
口は悪いし、時間にルーズ。
おまけに、男にもルーズ。
あぁ…イタくて愛しい思い出たち。
心臓がきゅぅっと締め付けられた。
電車は渋谷に着き
沢山の人が降りた。
さっきぶつかった女の子も
渋谷で降りていた。
あの子もいつか赤リップを
塗っていた時期を誇ったり、
恥ずかしがったりするんだろうなぁ
そう思うと急にあの子が
愛おしく、そして可愛らしく想えた。
腕時計を見ると時間は12:22
待ち合わせまで後8分ある。
急いでトイレに向かった。
鏡の前は化粧直しをする、おばあちゃんから
制服の女子高生、派手なギャルでいっぱいだった。
ゆきはなんとか隙間を見つけ、
そっと、間に入り、鏡で隈なく
自分をチェックした。
ファンデーション、アイライン、
チーク、前髪…横顔も忘れずに。
ポーチからベビーピンクの
グロスを取り出して、
必要以上に唇に塗っていく。
ぽてっとしたベビーピンク色の
女の子らしい、いかにもな唇が完成した。
もう一回前髪を手でサッと直し、
腕時計を確認する。
12:27
トイレを出て、
小走りで宮益坂口に向かった。
ベビーピンクの唇をした26歳の私は
口も悪くないし、時間にも正確。
そして今日は2年半記念日のデート。
ベージュリップで笑い転げている私が目を大きく見開いてびっくりしてるいのが浮かんだ。
扉付近にゆきは立っていた。
近くにはこれから遊びに
行くであろう、
黒髪ストレートの女子高生。
まつ毛がバサバサで、
ノーズシャドウが不自然に
浮き上がってる大学生。
不自然な距離で話し合うカップル。
様々な人がいる。
ゆきは外を見ようと、窓の方を向くと窓に映った自分と目があった。
「あっごめんなさい」
近くにいた女の子が
ゆきにぶつかった。
ゆきはチラッと女の子を見てすぐ
窓の外に視線を戻した。
後ろから、若い子特有のハイテンションな声が聞こえる
あー、もう本当にうざったい。
静かにしてくれないかな。ガキ。
これだからガキは嫌いなんだよ。
ガキなのに化粧は一丁前だし。
ピンクのまん丸チークに止めが
赤リップなんて信じらんない。
ゆきは心の中で毒づいていた。
私はベージュリップ全盛期の
あの遊び呆けていた日々を、思い出した。
目の周りを真っ黒に囲んで、
付けまつげを重ねて、友達と連む。
口は悪いし、時間にルーズ。
おまけに、男にもルーズ。
あぁ…イタくて愛しい思い出たち。
心臓がきゅぅっと締め付けられた。
電車は渋谷に着き
沢山の人が降りた。
さっきぶつかった女の子も
渋谷で降りていた。
あの子もいつか赤リップを
塗っていた時期を誇ったり、
恥ずかしがったりするんだろうなぁ
そう思うと急にあの子が
愛おしく、そして可愛らしく想えた。
腕時計を見ると時間は12:22
待ち合わせまで後8分ある。
急いでトイレに向かった。
鏡の前は化粧直しをする、おばあちゃんから
制服の女子高生、派手なギャルでいっぱいだった。
ゆきはなんとか隙間を見つけ、
そっと、間に入り、鏡で隈なく
自分をチェックした。
ファンデーション、アイライン、
チーク、前髪…横顔も忘れずに。
ポーチからベビーピンクの
グロスを取り出して、
必要以上に唇に塗っていく。
ぽてっとしたベビーピンク色の
女の子らしい、いかにもな唇が完成した。
もう一回前髪を手でサッと直し、
腕時計を確認する。
12:27
トイレを出て、
小走りで宮益坂口に向かった。
ベビーピンクの唇をした26歳の私は
口も悪くないし、時間にも正確。
そして今日は2年半記念日のデート。
ベージュリップで笑い転げている私が目を大きく見開いてびっくりしてるいのが浮かんだ。
