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拝啓、ムコ殿!【ARS・O】

第15章 お正月

しばらくUNOに興じていたが。

翔「もうこんな時間。そろそろおいとまします。」

時間は夜の8時過ぎ。

翔くんは、寝てしまったわが家の婿の代わりにお父さんの相手をしてくれて、楽しかった。

イチコがさとぴを揺り起こした。

イ「智くん、翔くんが帰るって!」

智「ほにゃ、むにゃむにゃ…。」

さとぴは一向に起きる気配はない。

翔「いいよ、イチコちゃん。智くんは寝かしといてあげて。」

頼んだタクシーが到着したので、翔くんを玄関まで見送った。

翔「今日はありがとうございました。楽しかったです。」

翔くんは、深々と頭を下げた。

イ「翔くんまた来てね。」

父「イチメン見るからな。」

翔「智くんは幸せ者だな。こんな暖かい家族ができて。」

翔くんは、少し寂しそうに微笑んだ。

翔「好きな人と結婚できて、智くんは本当に幸せだ…」

母「櫻井さん?」

翔「いや、何でもないんです。お母さん、おいしいお節料理ごちそうさまでした!」

翔くんはそう言うと、眼鏡と帽子を身に付けると手を降ってタクシーに乗り込んでホテルへと帰っていった。

タクシーを見送って、玄関の引き戸を閉めた。

イ「翔くん、去年に失恋したらしいのよ。事務所に結婚認めてもらえなくて…。結局、彼女は他の人と結婚したんだって。」

母「そうなの…。」

誰もが、イチコとさとぴみたいに順調に結婚できる訳ではないんだな。

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