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拝啓、ムコ殿!【ARS・O】

第8章 隠れアラシアン危うし

私は、皆に手まねきをして二階の和室に連れていった。

押し入れからミカン箱を出した。

『イチコ冬服』とメモが貼られたミカン箱。

皆の前で、ミカン箱のふたを開けた。

イ「うわぁ!」

イチコとさとぴは、ミカン箱の中身を覗きこんだ。

嵐のCDやDVD、雑誌などがぎっしり入っていた。

イ「嵐ばっかり…。」

智「やっぱりな…。」

イ「えっ、智くん知ってたの?」

智「いやぁ、そうじゃねぇかなって。」

父「母さん、ワシというものがありながら…。」

私は顔を上げられなかった。

恥ずかしかった。

知られなくなかった。

何年もひた隠しにしていた秘密。

私の心の中だけの私の世界。

誰にも足を踏み入れられたくなかった。

私の心の世界ではさとぴは私の恋人だった。

家庭生活も仕事も妻も母も壊す気はない。

ましてや浮気してる訳じゃない。

心の中でときめくくらいいいじゃない。

さとぴは私の王子様だった。

平凡なパートの主婦の私をお姫様にしてくれる、たったひとりの秘密の王子様だったんだ。

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