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拝啓、ムコ殿!【ARS・O】

第9章 出会いと約束

私はふたりを見送ると、車を走らせ家に帰った。

台所の流しに置きっぱなしだったコーヒーカップを洗った。

ふきんで拭いて片付けようと、釣り戸棚の扉を開けた。

扉の裏にはさとぴの写真。

母「もう隠す必要なくなったな。」

写真をはがそうとした。

その時、写真に何かが書き込まれていることに気がついた。

『いつもイチコを産んでくれてありがとう。satoshi』

油性ペンで書き込まれていた。

上手な字だった。

母「忘れ物って、これだったのね。」

私は、あふれる涙をとめることができなかった。

写真ははがさなかった。

釣り戸棚を開けて背伸びして書いたであろうさとぴの姿を、そのまま残しておきたかったから。

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