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拝啓、ムコ殿!【ARS・O】

第9章 出会いと約束

さとぴは、笑って小指を立てた。

智「約束。」

母「なんか軽い約束ね。」

私もつられて笑った。

ゆびきりげんまん。

この時から、私の秘密の王子様は、かわいい息子に変わった。

イ「えー、何してるの?」

イチコが駅弁をさげて帰って来た。

智「内緒。」

イ「なんかずるいなー。智くんは鯖寿司ね。」

智「やりぃ。」

イ「私は鱧の押し寿司。」

智「それもいいな。替えて。」

イ「やだ。」

母「はいはい、ごちそうさま。」

私があきれて言った時、ホームに新幹線が入って来た。

ふたりは荷物を持って新幹線に乗り込んだ。

イ「お父さんによろしくね。」

私はうなづいた。

お父さんもふたりの結婚には反対していない。

金曜日の夜、イチコから電話がかかってきた時点でお父さんも私も決めていた。

イチコが選んだ人なら大丈夫。

そう話していた。

ふたりが座席に着いたのが窓から見える。

イチコは私に向かって手を振っている。

さとぴは、イチコに見られないように小指を立てて見せた。

私はふたりに手を振って…、新幹線はホームを出ていった。

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