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サバイバルヘルパー

第6章 水

 それは、一気に吐き出された。


 だが、泥なのか、サビなのか、水は紅茶色に染まっている。


「まだまだ」


 何度も何度もハンドルを動かす。


 いままで詰まっていたものを、すべて押し出すように、水は止めどなく出てくる。


「井戸だろ……井戸なんだろ……本気だせよ!」


 水の色は薄くなってくる。


 ポンプの中の汚れを出しきったのか、無色透明の水が、俊輔の期待に応えるように放出された。


 天を仰ぎ、両手を突き上げる。


「どぅわったぁーーっ!! ああああぁぁーーーっ!!」


 足の痛みと、暑さも忘れるほど、腹の底から叫んだ。


 水を得た喜び。初めて生きることを実感した。


 たかが水。飲みたければ、キュッと蛇口を捻れば、いくらでも飲める。そんな常識が通用しないのが、自然だ。


 俊輔は思った。生きていることは当たり前ではない。


 当たり前なんてものはない。


 生きることは、それだけで試練なんだ。


 その試練に負けた者は、死と隣り合わせになる。


「人間って、あらゆるものに対して進化し続けているけど、逆に退化してるんだな。島を脱出しても、強く生きてかなきゃな」


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