テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第6章 水

 はたして、これが本当に井戸なのか?


 井戸としても、水は出るのか?


 滑車と釣瓶おとしで汲み上げるタイプではなく、長い猫の尻尾のようなハンドルを手に取り、押し下げすることにより棒ピストンが上下に動いて水を吸い上げ、太い蛇口から水が出る。


 俊輔は実物を見るのは初めてだった。


「どうやって使うんだ?」


 井戸そのものも、実物はこの島でしか見たことがない。しかも、遺体入りのフタ付きだった。


 しかも汲水ポンプ式の井戸なんて、都会人の俊輔にとっては、出会うことのなかった代物。手に触れること事態、初めてのこと。


「たしか、ここを掴んで……だったかな?」


 少しグラグラとするハンドルを握り、上げては下げ、上げては下げ、を繰り返してみる。


 最初はスカスカで、なにも出てこなかった。


 何度も動かしているうちに、やがて軽かったハンドルにも下げる時に重みが加わり、手に伝わる。


「きたかっ!?」


 腕に力が入る。


 動かす度に『ゴポゴポ』と音がする。


「来てる来てる……水、水、みずぅーーっ!!」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ