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サバイバルヘルパー

第1章 プロローグ

 相羽俊輔22歳。現役の大学生。


 彼が、この物語の語り手の目となり鼻となり、ナビゲーターとなる。


 アルバイトをして貯めたお金で、夏休みに彼女と一緒に一週間の豪華客船での船旅を、サプライズで計画していたのだが、彼女が極度の船酔いと海嫌いのため、土壇場で失恋キャンセル。


 たった一人の寂しい船旅となった。


 喜んでくれると思ったのに……。


 ゴキブリの詰まった浴槽にダイビングするのと、この船旅と、選ぶならどっちの選択に、なんの迷いもなくゴキブリを選んだ彼女。


 幼い頃、父のクルーザーに乗って海を走っていたとき、クルーザーが転覆するという不運に巻き込まれ、心に船と海による恐怖を植え付けたまま生きてきた彼女。


 そんな彼女を、船旅に行こうと誘ったのが悪かった。


 当日の船着き場まで、この計画を黙って、喜ばせようと思ったのが裏目に出た。


 俊輔は思った。あんなわがままな女、こっちから願い下げだ。


 新しい出会いを求めて俺は船旅に出ると……。


 結論からして、どっちがわがままだったのだろうか? 


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