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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 気がつけば朝になっていた。


 燻製の火は消え、被せてあったシーツは、チョコレートのような色に変わっていた。


「うむ、色は明治だな。肉はどうなってっかな?」


 上のかごをはずしてみる。


 肉はしっかりといぶされて、表面が固くなっていた。


「どうなってんだろ……」


 俊輔は一塊の肉を手に取り、鎌の先で削ってみた。


 中はややピンク色をしており、ジワッと肉汁が溢れる。


 それを、口に入れてみる。


「……ん? ハム? いや、ベーコン? 塩水につけて、燻しただけなのに……すげぇ美味い。よし、当分の食料だな」


 やや煙臭はしたが、味は満足がいくものが出来た。初めてにしては、上出来すぎると思った。


 俊輔は立ち上がり、昨夜、椅子で叩いた野犬を置いた場所に向かった。


 犬はすでに死んでいた。


 俊輔は小さなため息をつくと、しゃがみこんで、犬の体をさする。


「ごめんな……痛かっただろ……あとで埋めてやるから……」


 出来上がった燻製をかごに入れ、松の木くずを燃やすために掘った穴を広めに掘った。


 そこに、死んだ犬を入れた。


 俊輔は食べかけの燻製肉を、半分に切り、1つを犬の口元に置いた。


「おわびだ。天国で食えよ」


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