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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 自分の身を守るために、仕方なくやったこと。罪悪感が残るが、犬もイノブタも同じ命。


 自分が生きるためにやったこと。


 自然の中では、生きている事が勝利。


 情けは必要ない。


 そう、自分に言い聞かせた。


 温泉で熱した肉も、いい感じに煮込まれている。


「熱っ!! 熱いわっ!! 鍋も持てない……」


 古いタオルを鍋つかみの代わりに、肉の入った鍋を持ち上げた。


 ほのかに、肉から出たスープの香りがする。


「うわ、うまそ!! これ、骨はあとで煮込んだら豚骨スープできるんじゃないの?」


 スープごとは持ってはいけない。


 もったいないが、中のお湯は捨てた。


「ここの風呂はよかったな。次は婆さんを連れてきてやるか」


 自分が入った、ぬるくなった風呂の湯で、バッグの中を荒い、肉を詰めなおす。


 鍋と枕を2つ手にし、浜に戻る。


 やはり、夜と朝では、森も違った表情を見せる。木漏れ日が新鮮に感じた。


「昨夜の出来事が嘘みたいだなぁ。犬には参ったなぁ……そうか、イノブタが増えすぎないのは、やつらが食物連鎖を調整してんだな」


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