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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 俊輔は思う。普通の小梅に戻った時のほうが、症状のように感じると……。


 ため息しか出ないが、無理になにかをさせるわけにもいかない。


「婆さん、いつもの場所に座って、黙って見ててね」


 普段、小梅が座っている、膝までの高さの石に誘導する。


 こうなったら、こうなったで作業の邪魔だ。


 それだったら、ここで見ていてもらっていた方がいい。


 俊輔は漂着物にある、丸太や木材を集めた。


「まずは、ありったけの材料を集めなきゃな」


 まず、二人が乗れるだけの大きさの物を、作らなければならない。


 それだけの長さの木を、集めなくてはならない。


 さらに、水と食料が必要になる。


 干し肉はそのために作っていた。


「なるべく、頑丈に作りたいよな。万が一、嵐が起きて転覆にならないようなやつ……」 


 そうは言っても、あれほどの豪華客船が転覆するほどの嵐に、耐えられるようないかだなんて作れるはずがない。


「工夫が命と、後は運だな」


 材料集めは、竹林にも足を進めた。


 まず浮力が大事だ。竹はしっかりしている分、よく浮くだろうという考えだ。



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