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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 小鍋の半分ほどの量が獲れると、それを骨つき肉の鍋に全部入れた。


 そして揉みほぐした枯れ草に火をつけ、燃え広がれば薪をくべる。


「よし、このまま煮込めばいいだろ。さて、次は水だ」


 俊輔はペットボトルをバッグに詰め、井戸に向かった。


 そして、水を汲むと、今必要な分だけの水を煮沸することにした。


「ここは、かまど1号に任せよう」


 掘った穴の上に、傘の骨を並べただけの、初代かまど。そこに、小鍋を置いて、水を入れた。


「とりあえずこれでいいか……まだまだ忙しいんだよな」


 今度は、また温泉宿に向かった。


 目的は物置小屋だ。


 俊輔が持ち出したのは、ノコギリや、金槌、釘などの大工道具だ。


「これがあるとぜんぜん違うからな……絶対に脱出してやる」


 俊輔はいつも以上にやる気だった。


 足早に浜に戻ると、小梅が深緑の半袖シャツに茶色いスカート姿で佇んでいた。


「お、いいもん見つけたね。やっぱ残ってるもんだね」


「おかえりなさい、久美子さん」


 変わっていた。



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