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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 表面には水が溜まっている。引っ張り上げるとかなり重くなっていたが、下から持ち上げると、徐々に水は四方に散り、小波をたてて流れ出た。


 所々、小さな穴はあるものの、立派に使える。


「ホームレスみたいだけど、ここではキャンプだ。いいもの見つけた!」


 バサバサと音をたて、シートを広げる。かなり広い。


 紐を通す金具の輪っかも、いくつか残っている。


 それを四角く折りたたみ、バッグに押し込む。


「ここは定期的に見るしかないな。とんだ掘り出し物が落ちてるもんなぁ……」


 やったねと言いたげな、小さくガッツポーズ。


 俊輔は、まとわりつくほど、ぐずぐずになったジーンズの歩きにくさを忘れるほど、気分がよかった。


 岩から水がにじみ出る場所にくる。


 ペットボトルには、水は溜まっていたが、ゴミや虫が浮き、かなり濁っていた。


 よく考えてみれば、この上には白骨が入った井戸がある。


 その水も混ざっていることも考えられる。


 俊輔は肩を落とし、その水を捨てた。


 手帳の地図を頼りに、俊輔は歩き始めた。


 気がつけば、雨も上がり、雲も晴れていた。


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