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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 若い頃の経験から出来ること。痴呆が出た状態でも、覚えていることは出来るようだ。


「すげえな……羽をむしって、血抜きして、内臓も食べられるところ、みんな残してるよ」


 肝や心臓もキレイに分けてある。


 俊輔は思わず感心した。この婆さん、正常の時だと、なんでも本気出して出来る人なんだなと。


「あの、久美子さん」


 戻った。


 久美子さんと言った時点でそうだが、顔の表情が全く違う。やや、ぼんやりとしている。


「どうやって、食べ、ますか?」


 喋りもゆっくりになる。


「あ、ああ……そうだな」


 鯉を出すタイミングを逃した。


「あ……これは、焼いて食うか」


「焼く、のね」


「俺も取ってきたんだぜ!! 見ろよ!!」


 強引に鯉を出した。


 これも、塩水で洗って、焼いて食おうと考えていた。


「まず、さきにやらないといけないのが、水の煮沸だ。このままだと腹をこわすからな」


 俊輔は水を入れた、大きな鍋を見た。


 だが……絶句した。


 水が、真っ赤に変色している。


「……これで……鶏を洗ったか……」



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