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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 いや、いた。


 返事をしなかっただけだ。


 俊輔は、今ほど戻ってくることが、楽しみなことはなかった。


 食べごたえのある魚がある。これは、小梅も喜ぶだろうと考えていた。


 いや、とくに喜ばなくてもいい。どんな反応をするのかが、楽しみだった。


「おい、婆さん、すごいのつかま……」


 言葉が詰まった。


 その目の前の光景を見て……。


 薄暗闇の中、丸々の状態の鶏を、血に染まりながら解体している小梅。


「おかえり……久美子さん」


 その手には、深紅の滴りで濡れた、鎌が握られていた。


 俊輔は思わず後ろに下がった。


「な、な、なんだそれぇーっ!!」


 衝撃的な状況に示す人差し指の先も震える。


 すると、正常に戻ったのか、小梅は鶏の足を掴んで、逆さまにして、それをつき出した。


「鎌はね、上の家にあったの。にわとりは、そこにいたからね」


「いたからって……捌いたのか?」


「若い頃、家で飼ってたのをよく捌いて、鍋にいれたりね、煮炊きものにいれたりしたの」



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