テキストサイズ

sugar-holic

第28章 勘違いしないで

「このタイミングで?」

はぁっとため息をついて、倉田くんが離れた。

急いでポケットを探り、画面を見ると…

え?会社から?

「はい、松岡です」

『あ、課長?まだ在庫確認かかりそうですか?』

電話の相手は優菜ちゃんだった。

「あ、もう終わったけど。どうかしたの?」

『課長にお客さまがおみえになってます』

おみえになる、ってのも方言だよね。

最初は時代劇みたいで何だろうって思ったけど。

いらっしゃってます、とかが普通だと思うのにな。

「はい、すぐ戻ります。相手はどちら様?」

『えーっと、取引先の方ではなくて、課長のお知り合い?って話ですけど…』

そして、優菜ちゃんの言った人物名に、私は驚きを隠せなかった。

「強司が…?」

呆然として、意味もなく聞き返したその言葉を、倉田くんに聞かれていたなんて、この時は全く気付いてなかった…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ