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sugar-holic

第30章 鈍いにも程がある《倉田side》

外回りに出るために必要な書類を鞄に放り込んでいると、

「課長、来ましたよ!!」

杵築優菜が楽しそうに部署に戻ってきた。

聞きたい訳じゃないのに、比呂子さんと話してる声が耳に入ってきた。

「何?彼氏?」

「じゃないですか~?名前で呼んでたし」

「へぇ~、そうなんだ」

元彼だけどな。

心のなかで呟いて、そんな自分に小さく笑った。

何を気にしてるんだか。

「仕事場に会いに来るなんて、相当だよね」

相当…何だって言うんだ?

「彼氏さん、すごく気さくい人ですよ?お茶出しに行ったら、課長来るまでずっと話してきて」

「だからなかなか帰って来なかったの?」

「はい。ずっと課長のこと聞かれました」

「うわぉ!!愛されてるぅ!!」

…それはどうだろうな?

あの人の話を聞くに、そうでもなさそうだけど。

『強司に無理だって言われたんだよね』

そう言った時の、あの表情。

本当に愛されてるなら、あんな顔しないだろ?

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