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sugar-holic

第10章 棘がチクチクする

終業を告げるベルが鳴り、周りがガヤガヤと賑やかな音に変わる。

「課長、お疲れ様でした」

「はい、ご苦労様です」

そんな挨拶を交わしながら、フロアからどんどん人が減っていった。

今、そんなに早急なプロジェクト抱えてる人もいないもんね。

早く帰れる日は、皆さっさと帰宅するんだなぁ。

ここら辺が、平谷次長の言う、『家庭大事にしてる人が多い』ってのに通じるのかな?

回覧書類に判を押して、決済済みの書類を入れるトレイにまとめていると

「課長、もう上がりますか?」

デスクの前に立ち、私の様子を探っている…倉田くんがいた。

「そうね。もう帰るけど?」

「打ち合わせがてら、メシ食いに行きましょう」

唐突の申し出に、瞬きを何度かしてしまった。

「え…二人で…?」

無意識に顔をしかめていたみたいで、倉田くんがため息をついた。

「あのさ、そんな警戒されると、仕事しにくいんだけど」

え!?

私のせい!?

私が警戒してるとすれば、それは倉田くんのせいだから!!

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