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第4章 頭の中の甘い思い出

車に乗ると、中野さんが私の
方にグイっと体ごと向けて迫ってきた!

と思ったら、
シートベルトをつけてくれた。

それはそれでずるい。
不覚にもキュンとしてしまった。
中野さんは本当のワザとなの!?
と思うぐらい私のツボを突いてくる。

しかもその後は何事もなかったかのように
接してくる。それじゃ、まるで私だけ
踊らされているみたい。
だから私は一生懸命、冷静を装う。

「ありがとうございます。」

「今日は予定なかった?お腹減ってない?」

「今日は予定なかったけど、明日早いから…」

「そっか、急にきちゃってごめんねー。明日から出張でしばらく東京いないからさ。」

「どこ?行くんですか?」

「ん?出張は香港だよ。今回は短いんだけどね。行く前に会いたいなと思って。」

「香港?そっか。」

「全然淋しそうじゃないね?」
そういって中野さんは前を見ながら
嬉しそうに笑っていた。

「お土産…お土産いっぱい買ってきてください。そしたら淋しくないから。次の約束があったら全然寂しくないです。」

中野さんの横顔を盗み見したら、
笑顔がなくなっていた。
あれ?なにかいけなかったのかな?

その時信号が赤になって車が止まった。
中野さんがこっちを向いて、
大きな手で私の頬を撫でた。

一瞬にして体に電気が流れた。
そして、とても切ないキモチが
急に胸を襲ってきた。

そのあと中野さんは私の頬に軽く
キスをして、運転に戻った。

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