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硝子のルージュ

第2章 #2 忍びよる影

千種の脳裏にはこの女がどこの誰だかわかっていた。


大学時代、一時期ホストのバイトをしていた時、常連で来ていた女だった。


千種がホストのバイトを辞めた後もしつこく千種の行方を探し回っていたらしいのだ。


「もう私との関係は終わったの?」


「あの、俺さホストの仕事辞めたんだ」


すがってくる女を振り払いながら千種は仕事に戻ろうとする。


千種の背中に向かって女はこう言い放った。

「私はあんたを忘れないから」

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