遠い約束
第7章 喫茶室の情景〜遠い約束
冬吾が横を向いているその隙に
冴子は涙を素早く拭った。
いつのまにか、西の空は色づき始め店内の人影もまばらになっている。
想いを乗せて時は流れる
「そうそう、冴さんの手紙を持ってきてくれたあの娘さんは?」
「ああ、みつさんですね。あの子はもう八年ぐらいでしょうか、私の所に来て。優しい、とても気の付く子なんですよ。今日も一緒に来てくれて…」
みつは初めてなので公園の中を歩きたいと、レストラン前での待ち合わせ時間だけ決めて、さっさと行ってしまった。
気を遣ってくれていた。
「冴さんには強い味方がついているようだ」
冬吾は手紙を届けに来た際のやり取りを思い出して微笑んだ。