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遠い約束

第7章  喫茶室の情景〜遠い約束


みつはその日、玄関前で何としても手紙を槙村中佐ご本人に直接渡すと言って聞かず、応対に出た手伝いの者を困らせていたのだ。

そこへいつもより早く戻った冬吾と会うことができ、今度は更に返事を今持って帰ると急かしたのだった。

冬吾はみつの必死な形相に冴子に何事かあったのではないかと慌てた。

しかし、思いがけず冴子本人からの手紙はたいへん嬉しく、即座に思い出の池が見える喫茶室を待ち合わせに指定し、みつに返事を託した。


「私にはあの娘さんが、ぐずぐずしている私の背中を押してくれたように思えますよ」

それは冴子にとっても同じであった。


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