誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
音を立てて私から離れたと思ったらまたすぐに塞がれる。
『…………っぁ…………ふ、ぅ……』
角度を変えて何度も何度も。
『……はぁ、はぁ』
私から力が抜けたのがわかると、岡崎さんは優しく私を支えて離れた。
(今の……なに……?
また、キス………………)
「幸村、歩ける?」
顔なんて見れなくて頷くことしかできなかった。
「そしたら、今日はこれで。
明日からまたがんばろうな」
もう1度強く抱きしめられて、離れていく。
別人のような岡崎さんが信じられなくて、車に戻る姿から目が離せない。
そんな私に気づいて、いつものように笑いかけてくれた。
(……いつもの、岡崎さん……………)
私は車が行くのを見送って、部屋に戻った―――