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誰かお願いつかまえて

第7章 家庭崩壊……?



肩をがっしり掴んでそう言われても、何のことだかわからなくて変な声を出してしまった……


「今日、三浦(ミウラ)さんのところ行っただろ?!」


三浦さん……あぁ、あのおじいさん社長のところか!
まさか社長が出てくると思わなかったからびっくりしたなぁ……


『行きました、けど…?』

それだけで褒められるようなこととは思えないんだけど…


「あの人、今まで誰が行っても追い返されてきたのにお前が行ったら新規契約してくれて

今までにないくらいの上機嫌で電話までしてきたんだぞ!?」


『…え、そうなんですか!?』


とてもそうは見えなかったけどなぁ…

寡黙な方だったけどいろいろありがたいお話も聞けたし、契約の仕方も通常通りだったし……


でも我らが営業部のエースがそう言うならやりにくいお客様だったのかな?




「それで今後の打ち合わせ、全部お前が来るようにって言ってたぞ」


『!?
それ、ほんとうですか!!?』



初めて、認めてもらえた……


私が行っていいって言われた……!!



「本当によくやったぞ、幸村!」


座って放心していた私の頭を上から岡崎さんが撫でてくれる。


私はもう感動してしまってそれどころじゃなかった。
私が仕事でお客様に認めてもらえたなんて…!


優しく撫でてくれる岡崎さんに寄りかかると、一瞬動きが止まったがまた撫でてくれた。




岡崎さんに頭を撫でられて安心しきっていた私は気づかなかった。








――戻ってきた川端に最初から見られていたこと…






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