誰かお願いつかまえて
第8章 持つべきものは………
「…お前が飲みすぎて潰れたから、迎えに来いって連絡があったんだよ」
(ユズが連絡してくれたのかな…)
波香の酔った思考回路では罪悪感なんてものは浮かばず、ただただ人の体温を求めるばかりだった。
「寒いのか?」
自分の腕を離さない彼女の様子を見て、
川端は後部座席からブランケットをとりだそうと助手席のドアを閉めようとするが―
『…どこ行くの?』
酒のせいで火照っている顔に潤んだ瞳。
(離れないで……1人にしないで…………)
波香にとって、何か嫌な夢から覚めたような感覚だった。
「後ろからブランケットとったら隣に戻ってくるから…」
川端はそう言い聞かせて腕を外した。
(…どうしたんだ?
いつも酔ってもこんなふうにはならないのに………
やっぱり何か抱えこんでるのか…)
ブランケットを取り出して、運転席に座るとまた腕を掴んできた。
(不安…なのか?)