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誰かお願いつかまえて

第8章 持つべきものは………



『―じゃ、お世話になりました』


玄関で靴を履くとお辞儀をした幸村。


「おう、気をつけて帰れよ?」


って、そういえば……


「…お前、ここどのへんだか分かってる?」


『……ナビに任せる!ほら、最近のナビは有能だから!!』


「お前、その有能なナビを迷わせる天才だよな?」


『……』


コイツ、極度の方向音痴なんだった……


2、3回行ったところは覚えられるけど、初回のところは必ず迷う。


今でこそ営業に支障はないけど、新人の頃は目的地に1人で辿り着けないとかいうのが日常茶飯事だった。


最近だって、新規の契約とってから帰ってこれなくなったとか連絡してくることもある…



「……俺、やっぱ送ってくから。危ないから歩きで」


『大丈夫!!
すぐ!すぐタクシー捕まえるから!!』


「でも」

『ほんとに大丈夫だから!
……家ついたら連絡するから、ね?』



…おい、そんな事言われたら何も言えないだろうが!!//


「…まずタクシー乗ったら連絡しろ」


『分かった!……じゃあね!!』


ガチャン



俺は遠ざかっていく足音にため息しか出なかった。






――結局、幸村が家に着くまでGPSを使ってたどっていた。




……俺ってストーカーか?









――川端 駿side――End




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