
誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
「幸村」
声とともに近づいてくる川端。
『なに?』
いつも近いって言ってんのに!!
でもここで反応すると長引くし、営業部以外の人に見られると何を言われるか分かったもんじゃない。
早く離れろと思いながら平静を装った。
「…?
あ、ここから先の部分頼みたいんだけど」
不思議そうな顔をしてから本来の用件に入ってきた。
ほら、川端だって無視すれば大人しくなるのだ。女の子たちだってそのうち飽きるだろう。
「幸村、聞いてる?」
『あぁ、ごめん!……ん、できるよ
ていうかこれ、元は私がやるはずのやつ…
ありがと』
「はいよ」
私より先を見て動いてくれる川端は、こうやって私の分までやってくれる。
それには感謝してるんだけど―――――
「…ん?」
首を傾げながら私のおでこに触れてくる。
(なな、なにやってんの!?)
『川端っ!離して』
逃れようと体を引けば、後ろに手を回されて逆に引き寄せられる。
「暴れるな……熱でもあるのかと思って」
熱?
あるとしたらあんたに、じゃない?!
「うん、熱はなさそうだな」
『なにをいきなり……』
「いや、反応薄いから熱かな、って」
こいつ……よくも私の努力を………!!
