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桜並木を見おろして【ARS・O】

第14章 エピローグ

「京都のご実家には帰ったんでしょ?」

櫻井さんが、キュウリの酢の物をパリパリいわせた。

「うん。母は、私の顔見て泣いてた。心配とか怒りとか、いろんな感情があったんやと思う。」

「大野のことは?反対されなかったんですか。」

櫻井さんは、玉ねぎと油揚げの味噌汁をずずっとすすった。

「反対も何も…。それに関してはもう何も言わなかったわ。」

「置き屋は継がなくていいんですか?」

櫻井さんは、完食すると箸を置いて手を合わせた。

「母は今は元気だけど、やっぱり歳をとっていて…。これからのことは、まだ決めてへんわ。」

「そうですか…。」

櫻井さんは、番茶を飲み干した。

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