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桜並木を見おろして【ARS・O】

第14章 エピローグ

「なんであんな奴がいいんですかね。わざわざ苦労するために一緒になるみたいで…。俺なら収入も安定してるし、マンションも広いし苦労させませんよ?」

櫻井さんは、上目遣いで見つめてきた。

「おおきに。その決め顔で営業成績伸ばしてるんやね。さすが、トップセールスマンやね。」

とたんに櫻井さんの眉が下がった。

「はは…。もう、小春さんにはかなわないよ。」

ひとしきり、ふたりで笑いあった。

櫻井さんは、いつも私のことを心配してさりげなく気づかってくれる。

にぶい大野さんとは正反対だ。

「でもね、大野さんは私の過去を受け入れてくれた。だから、私も大野さんの過去を受け入れなあかんのや。」

私の言葉に、櫻井さんはため息をひとつついて肩をすくめた。

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