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桜並木を見おろして【ARS・O】

第2章 京都へ行く

4月の初めの土曜日、私は東京駅にいた。

ボストンバックを提げて、待ち合わせ場所で立っていた。

まさか、こんな日が来るなんて…

私は、ドキドキが止まらなかった。

「小春さん。」

背後から声がした。

振り向くと、そこにはディバッグを背負った大野さんが立っていた。

古びたトレーナーにダメージジーンズ、ジャンパーを羽織った大野さんは、まるで美大の頃の大野さんのようだった。

「待った?」

「いえ、今来たところ。」

恋人のお決まりみたいなやりとりをした。

恋人でも何でもないのに。

「じゃ、行こか。」

大野さんは、私の前を歩き出した。

私はあわてて後をついて行った。

今日、二人で京都に行く。

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