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桜並木を見おろして【ARS・O】

第3章 懐かしい再会

アッコさんが、ちょっと早い夕食を用意してくれた。

アッコさんは沖縄の出身で、沖縄料理を作ってくれた。

私は、台所で盛り付けを手伝った。

タケシさんの家の台所は、昔ながらの走り庭だった。

玄関から裏庭までまっすぐにつながった土間の台所だ。

私の実家の置き屋も、タケシさんの家ほど立派ではないけど台所は走り庭だった。

「へー、小春姉さん、東京で食堂やってんの?芸妓はやめたの?何で?」

私は言葉に詰まった。

「えっと…、京都はもう飽きたんや。」

アッコさんは、驚いた様子で私を見た。

「京都って、ホントいいとこなのに。風景も美しいし、文化も…。まあ、京都生まれだと、身近すぎて飽きちゃうのかな。」

アッコさんと私は、盛り付けた料理を居間に運んだ。

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