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桜並木を見おろして【ARS・O】

第5章 銭湯にて・ガールズトーク

「あー、気持ちいい!」

アッコさんは、体を洗うと広い浴槽につかり、手足を伸ばした。

「私もこのお風呂やさん来るの、子供の頃以来やわ。」

この銭湯は昔からある銭湯で、何回か来たことがある。

「そうか、小春姉さんは祇園の生まれ育ちだもんね。祇園からここ近いもんね。」

私も浴槽につかり、アッコさんの横に座った。

「昔と全然変わらへんな…。」

広告の文字が入った鏡。

壁の欠けたタイル。

電気風呂、薬湯、泡が出る浴槽。

常連客らしきおばあさんたちの会話。

私が子供の頃から変わらない銭湯の風景。

懐かしい。

本当に私は京都に帰って来てるんだ、そう思った。

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