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桜並木を見おろして【ARS・O】

第6章 銭湯にて・ボーイズトーク

タケシは、頭と体を洗い終わると電気風呂につかった。

「くぅっ、効く!」

タケシは、しかめっ面をしながらも気持ち良さそうに言った。

俺もタケシにならって片足を電気風呂に突っ込んだが、とたんにびりびりと電流が刺激した。

俺はびっくりして、足を引き抜いた。

「ポン画の画伯は、電気風呂も入れないのか?俺なんて、毎日土練って皿運んで肉体労働だから、よく効くよ。」

タケシは、俺をからかうように笑った。

俺はもう一度そっと足を入れたが、やはりびりびりがすごくて脚がつりそうだったので、あきらめて隣の泡の出る風呂につかった。

「しかし、小春さんも連れて来るって聞いたときは驚いたよ。」

タケシは、電気風呂につかりながら背中を伸ばして言った。

「うん、東京で偶然会ってさ。で、4回生のあの時が懐かしくなってさ。それに…。」

「それに?」

タケシが聞き返した。

「いや、何でもねぇよ。」

俺は、顔を洗った。
タケシに、浴槽で顔を洗うなと注意された。

「小春さんは、何で芸妓辞めて東京にいるんだ?」

タケシは今度は肩甲骨を伸ばしている。

「さぁ。聞いたんだけど、あんまり話してくんなかった。」

俺は答えた。

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